GPS受信アンテナの設置 雷サージプロテクタ

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GPSアンテナの屋外への設置と雷対策

GPSアンテナはGPS受信機に接続されており,GPS受信機は他の機器に接続されます.GPSアンテナを屋外に設置する際に雷サージについて考慮すべき点をまとめました.

1. GPSアンテナは屋上建造物に近接させて設置する(必須)

GPSアンテナを屋上に設置する際にまず考慮する事は近くに送信施設がなく,広く空を見渡せる場所を見つけることです.とはいえ高いタワーやポールの先端に取り付けて,空高く突き出す必要はありません.通常,GPSアンテナは避雷針の保護範囲内に,短いポールを立て,屋上建造物に寄り添うように,突き出さないように設置します.このとき,電界が高くなる建物の角からはなるべく遠ざけます.このように設置すると,直接雷に打たれる可能性は低くなり,たとえ近隣に雷が落ちたとしても,GPSアンテナの電位は建屋そのもの,すなわち屋内とほぼ等しくなって,同軸ケーブルを通して施設接地に流れ込む雷サージ電流は小さくなります. さらに雷サージプロテクタをGPSアンテナを建屋に引き込む場所に設置し、雷サージプロテクタを建屋の接地に接続することで同軸ケーブルの外皮に流れる雷電流を接地し、芯線に生ずる雷派生電圧を最小限にとどめることができます.これにより受信機に過大な電圧が加わるのを防ぎます.

雷サージプロテクタの例(これを低いインダクタンスで接地する)

2. GPSアンテナをタワーや高いポールに設置するのなら(危険です)

タワーや高いポールは落雷を受ける可能性がありますから、そのような場所にGPSアンテナを取り付けるべきではありません. パルス状の雷サージ電流は立ち上がりが非常に早いため,抵抗よりインダクタンスがサージ電圧の形成に寄与します. すなわちポールやタワーから大地に至る経路のインダクタンスにより設置場所の電位は建物や屋内の施設に対して非常に高くなります.そのような高電位の場所にGPSアンテナが取り付けられると,同軸ケーブルにとても大きな電流が流れて,GPS受信機や機器ラックに流れ込む可能性があります. このような事態においても,接地パネルや雷サージプロテクタが建屋への導入部に正しく設置してあれば,ほとんどの電流は接地パネルから接地線に流れ,また同軸の外部導体と芯線との間に電位差が生じても,雷サージプロテクタがこれを短絡して機器を保護してくれます. しかしこれが機能するには,接地パネルや雷サージプロテクタを屋内の機器よりもじゅうぶんに低いインダクタンスで接地するための大掛かりな工事が必要になります. 接地パネルを雷サージプロテクタで兼ねるときにも,同軸ケーブルよりも低いインダクタンスで接地する事を忘れないで下さい.

接地パネルの例
低インダクタンス接地に使用する銅帯


アンテナ同軸ケーブルの建屋への導入部 アレスタの接地 例



3. まとめ

  • たとえGPSアンテナから見える空が狭くなるとしても,GPSアンテナは避雷針で保護された施設建造物に寄り添うように,突き出さないように設置する
  • 建物の角は雷の接近に伴い電位が高くなり,ストリーマーを発生し,着雷の可能性が高まるので,このような場所は避けて設置する
  • 屋外GPSアンテナからのケーブルは建屋に引き込む際に雷サージプロテクタを挿入し、雷サージプロテクタは低いインピーダンスで建屋の接地に接続する
  • やむを得ない場合をのぞき,タワーや高いポールに設置しない
  • やむなく,タワーや高いポールに設置する場合は,専門業者による十分な雷対策を実施する

株式会社 昌新 技術部